太極拳と伝統拳の違いって?

太極拳:伝統と革新の融合

太極拳は、中国武術の一種で、その起源は古代の哲学と深く結びついています。太極拳は、その独特の動きと哲学が世界中で広く認識され、多くの人々に愛されています。

太極拳には、伝統的に昔から行われてきた太極拳と、中国政府が型を制定した太極拳との違いがあります。前者を伝統拳、後者を制定拳ともいいます。日本で最もポピュラーに行われている太極拳は、後者の制定拳です。

では、その2つの違いを詳しくみていきましょう。

伝統拳

伝統拳には、いくつかの流派があります。主な流派には、楊式、陳式、呉式、孫式、武式などがあります。これらの流派は、それぞれ独自の技術、理論、訓練方法を持ち、中国の文化と哲学に深い影響を受けています。

伝統的な太極拳の訓練は、一般的には「形」または「套路(とうろ)」と呼ばれる一連の動きから成り立っています。これらの形は、攻撃と防御の動きを組み合わせたもので、太極拳の哲学と技術を体現しています。

伝統太極拳は、その深遠な歴史と多様性により、世界中で広く認識されています。それぞれの形が持つ特性と目的を理解することで、太極拳の真髄をより深く理解することができます。

神戸太極拳協会は、この伝統拳を学ぶことができる数少ない機関です。

中国政府が制定した太極拳(制定拳)

一方、制定拳は中華人民共和国が成立後、楊式太極拳をもとに、これを中高年などにも無理なくできるように編集しなおし、新たに健康体操として制定したものです。

日本でいえばラジオ体操に近い位置づけです。この様にしてできたのが広く行われている「簡化太極拳24式」で、日本で行われている太極拳の大部分はこれになります。24式のほか、48式、32式の太極剣、そして競技用の型である42式などがあります。

日本では「武術太極拳」と称していて、これは主に制定拳のことであり、伝統的な中国武術とは異なるものです。制定拳では型の表演を重視し、美しい表演をすることを目的として、競技会なども開催されています。

中国武術

太極拳は中国武術の一種です。中国武術は、その深遠な歴史と多様性により、世界中で広く認識されています。現存するだけでも400以上の流派が存在し、日本でも比較的知られているものは、北派(外家拳と内家拳)および南派(南拳)の3つに分類されます。これらの流派は、それぞれ独自の技術、理論、訓練方法を持ち、中国の文化と哲学に深い影響を受けています。

北派(外家拳)

北派の外家拳は、その動きが大きく、力強いことで知られています。主な流派には、少林拳、蟷螂拳、弾腿、査拳、陽湖拳、木蘭拳、華拳、紅拳、秘宗拳、地尚拳、酔拳、猴拳、八極拳、通背拳、三皇炮捶門、通備拳、通臂拳、翻子拳、鷹爪拳、劈掛拳、義和拳、六合拳、黒虎拳、蛇拳、孫臏拳、自然門などがあります。

北派(内家拳)

内家拳は、内面のエネルギーと精神の調和を重視します。主な流派には、太極拳、心意拳、八卦掌、六合八法などがあります。特に太極拳は、そのゆったりとした動きと内面の平静を重視する哲学で、世界中で広く実践されています。

南派(南拳)

南派は、その動きが小さく、迅速で力強いことで知られ、空手の基になったものもあると言われています。主な流派には、喇嘛派、俠家拳、西藏白鶴拳、白鶴拳、詠春拳、洪家拳、花洪拳、洪佛派、黒虎門、蔡莫拳、達磨蝴蝶拳、劉家拳、蔡家拳、李家拳、莫家拳、佛家拳、蔡李佛、白眉拳、白虎拳、龍形拳、柔功門、東江龍形拳、南蟷螂拳、周家蟷螂拳、無影拳などがあります。

中国武術で用いられる武器術

中国武術は、その多様性と深遠な歴史で知られています。その中でも特に注目すべきは、武器術の豊富さです。中国武術の流派は、武器を扱う技法から徒手空拳の技法を発達させたため、武器術を含んでいるのが普通であり、あらゆる状況に対応するため、一つの流派内で複数の武器術が練習されます。

中国では武器のことを器械と呼び、大きく短器械と長器械、軟器械に分類されます。短器械は刀や剣などの片手で扱う武器、長器械は棍や槍などの長い武器、軟器械は三節棍など関節のある武器を指します。この他に小型の隠し武器が多数あり、これは暗器と分類されます。

剣クラス風景写真

短器械を扱う武器術

短器械を扱う武器術には、長拳系剣術や少林剣、太極剣、武当剣などがあります。また、刀術には長拳刀術や南刀、六合刀、太極刀などが含まれます。

長器械を扱う武器術

長器械を扱う武器術には、少林棍や瘋魔棍、太極棍などの棍術と、双頭槍や六合大槍などの槍術があります。

軟器械を扱う武器術

軟器械を扱う武器術には、二節棍や三節棍、短梢子棍、長梢子棍などの多節棍術と、流星錘や縄鏢などがあります。

その他(暗器等)

その他の武器術には、判官筆や峨嵋刺、手剪筒、血滴子、麟角刀などがあります。

これらの武器術は、中国武術の深遠な歴史と多様性を反映しており、それぞれが独自の技術と訓練方法を持っています。神戸太極拳では、32式剣、42式剣、楊式剣、太極刀(楊式)など、武器術を学ぶこともできます。